キニバ岩

 キニバ岩を最初に意識したのはいつだったか・・・。南川金一氏著「山頂渉猟」に魅せられて2338.7m峰(独標)と蕎麦粒岳に登った時にその先稜線上にあるキニバ岩にいつか登ってみたいと思っていた。その思いを約5年近く持ち続け、やっとその時が来たのだ。

 キニバ岩を登頂した記録は少ない。一番確実に到達できるコースは、中八丁峠から尾根を忠実に登っていくことだろう。笹とシャクナゲの薮漕ぎが続くらしいので時間が読めない。時間切れになって途中で引き換えてしているパーティもある。

 いゃ~やるなら今しかない。今回のコースは時間との勝負でもある。以前に下見したときに確認しておいたテン場に前日の夕方までに着けばいい。

2025年5月4日~5月5日 ルート図

5月4日

翌日のことを考えるとちょっと緊張の気持ちで予定のテン場に到着した。

マイテント

テン場からの眺望。糸瀬山からの稜線だ。

間もなく日の入り。

夕陽で山が染まった。明日はいい天気だ。

空には半月が。

 5月5日

 いよいよの時が来た。5時にはスタートしたい。そのための3時起床も苦にならない。

 テントを撤収し登山口まで移動。そうしたら昨日はなかったテントが1張り。びっくりした。テントの住人と少し話ができた。昨日ここを5時にスタートし独標を目指したが途中で断念。水のこともあって引き返し、昨夜は今場所に8時に到着したそうだ。

 どうもキニバ岩まで行ったらしい。岩の名は知らないようだった。朝5時の出発でピストンで夜8時着となると、テントを持ち上げたとしても結構時間がかかる。本当に時間との戦いになりそう。

 話し込んだので5:30のスタートとなった。

登山口。ここは中八丁峠から空木岳へ続く登山道だ。中八丁峠までまずは軽く登って行こう。

中八丁峠へは1.5時間で到着した。予定通りだ。

中八丁峠からはこの笹薮の中を登っていく。幸いにして北信の笹と違って柔らかいから助かるわ。

下に伊奈川が見えた。最初は伊奈川から中八丁峠に登り上げることを試みたときもあったが、水量が多くて渡渉できなかったことを思い出した。

 笹薮をぐんぐんかき分けていく。正面に三の沢が食い込んでいて、その奥に中央アルプスの稜線が立派に見える。

中央右が檜尾岳で左が三ノ沢岳になるが、隠れてしまってよく見えない。

熊沢岳も立派だ。

標高1900mを越えたところからオオレンソウがたくさん咲いていた。

正面に空木岳。その右が南駒ヶ岳、更に右が仙涯嶺。

標高2000m位からシャクナゲの薮が登場。歩きやすそうなところを選んで登っていく。やがて見えた独標。テンション上がるわ。

現れました!キニバ岩。キラキラしている。 あそこまで行ける!

キニバ岩ワールドが始まる。

約5年前に歩いたルートがここで確認できるなんて・・・。とても嬉しい。

 キニバ岩の近くまでやってきた。基部まで行ってみなくちゃ。キニバ岩には11:30に到着した。スタートして6時間。思ったより早く到着できたのでキニバ岩ワールドで結構楽しめるかな。

迫力あるキニバ岩

 キニバ岩の基部を右側に回り込んで岩を登り上げた。そこにはキニバ岩ワールドが広がっていて、素晴らしい眺望が楽しめた。

キニバ岩ワールドの始まり

正面に熊沢岳

西に乗鞍岳

正面に南駒ヶ岳。その手前は2249.0mピーク。

振り返ると糸瀬山が立派だった。