鎧山~嘉平治岳

 何年も温めていた2000メートルを超す登山道のない山の嘉平治岳。残雪期を利用して登る山だ。私の尊敬する南川金一氏は、1999年に嘉平治岳に登っている。ならば行くしかない。

 嘉平治岳は影火打山から南に延びている稜線上に座している。
 どのように攻めようかと考えていたが、やっぱり南川氏のルートがいいだろう。南川氏は、嘉平治岳を登ったついで(?)に、その南にある岩山の鎧山にも登っている。

 このコースの核心は鍋倉谷の渡渉だ。スノーブリッジがあればなんてことないが、昨年の4月にチャレンジした時には、雪が少ない年だったので、雪解け水が多くスノーブリッジどころか渡渉もできずに、思いを残したまま代わりに弥八山に登っている。
http://archelirion.jp/otto/2016/04/24/%E5%BC%A5%E5%85%AB%E5%B1%B1/

 鍋倉谷の雪解け水は今年も多かった。
 しかし行くしかない!
 裸足になり頭の芯までしびれるような流れの中に踏み出した。右岸に渡られた時にはホッとした。核心部を抜けたのだ。
 南川氏とは逆コースをとることにした。鎧山に登ってから嘉平治岳へ。というのは渡渉した地点からはそのほうが都合よかったから。

 雪をつないで稜線へと出る。稜線上を辿っていけば鎧山、そして嘉平治岳とピークを踏めるはずだった。ところが稜線上は激藪が待ち構えていた。第2の核心部。激藪の突入は疲れるんだよね。

 鎧山のピークの到着。いつも通りの儀式を行った。つまりピークの目印をつけさせてもらった。

 先を急ぐ。
 雪でつなげるところは少なく、どうしても藪の中を歩くようになる。時間はかかるし疲れる。
 嘉平治岳は2つの偽ピークがあった。この辺はしっかりと残雪で歩きやすかったが、急斜面のため結構神経を使った。
 スタートしてから約6時間。嘉平治岳のピークに立つことができた。この山は火打山に注目が浴びていて知らない人が多い。それだけにこの山のピークに立てたことは、この嘉平治岳も喜んでくれるだろう。
 ピークからは360度の素晴らしい眺望が広がっていた。

 しばし至福の時を過ごし、さあいよいよ下山。
 来たルートを引き返すと思うとうんざりだ。少し稜線を戻り直接惣兵エ落谷へ降りる急斜面を下ることにした。惣兵エ落谷をさらに下ると鍋倉谷に合流する。
 第3の核心部ではあったが、このルートは正解であった。ブロック雪崩に注意しながら惣兵エ落谷の左岸についた時にはホッとした。しかもスノーブリッジが残っていて、靴を脱ぐ必要がなかった。あとは去年に弥八山を登った時のルートを行けばいいい。

 通行止めになっている林道には水芭蕉が群生していた。

 

ルート図(2017年5月20日)
鎧山~嘉平治岳

 

鍋倉谷の渡渉地点。第1の核心部は突破した。
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きれいに晴れ渡った。この斜面を上り詰め稜線に出た。
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この激藪。疲れんだなあ~。第2の核心部。
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激藪をいくつも抜けて、やっと見えてきた鎧山。(岩山になっているところ)
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鎧山のピークにていつも通りの儀式。今後何人の人がこのテープを見つけてくれるだろうか・・。
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焼山の存在が大きい。
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金山(右)と天狗原山OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

下をのぞくと乙見湖が。正面には黒姫山と御巣鷹山(左)。右につながる佐渡山。その奥に飯綱山と霊泉寺山。
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鎧山からの眺望を楽しんでいよいよ嘉平治岳に向かう。基本稜線を詰めていくのだが、まだまだ激藪が続く。そんな中で見つけたカタクリ。
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残雪が出てきた。偽ピークその1。
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やっと山頂かと思ったら、偽ピークその2。この急斜面の登りはかなり緊張した。
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嘉平治岳に到着した。2度目のチャレンジでやっとこのピークに立つことができた。ここでもいつもの儀式。
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正面に影火打山と火打山(右奥)
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焼山。噴煙が上がっている。
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金山(右)と天狗原山。
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木々の奥に高妻山と地蔵山。
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遠くに黒姫山と御巣鷹山。右に佐渡山。その奥に飯綱山と霊泉寺山。
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三田原山。
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さあいよいよ下山だ。来た稜線を少し戻り、直接惣兵エ落谷に降りるこの急斜面を下った。ブロック流れに注意しながら。第3の核心部。
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下ってきた谷。
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1年前に嘉平治岳に登れず、代わりに登った弥八山(左)。
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振り返ると嘉平治岳が見えた。
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鍋倉谷のヒコサの滝。相変わらず水量が多い。ここまでくればもう安心。勝手知ったるルートだ。
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気持ちのいい空間。緊張がほぐれていく。
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水芭蕉が群生していた。
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