滑川・二ノ沢左俣遡行・右俣下降

 滑川には面白そうな沢がいくつかあって日本登山体系に紹介されているが、一ノ沢と二ノ沢に関しての情報がない。
 私の尊敬する南川金一氏は、約20年前に二ノ沢経由で蕎麦粒岳に登頂している。その時の南川氏は、事前情報もなく読図だけでの登頂であった。今の時代のようにGPSなど一切なかったのだ。
 私はだめだ。いざという時のために必ずGPSは持参するし、自分の歩いたトラックを記録に残すためにも手放せないのだ。

 前日に足慣らしという感じで滑川から風越山(かざこしやま)に登った。
 
 本番は今日。
 いよいよ滑川から二ノ沢の左俣を遡行して右俣を下降する時である。二ノ沢は、下降した記録はいくつか出てくるが、遡行したのは南川氏の記録しか見つからなかった。
 どうなることやら。遡行図など全くなくちょっと不安はあったが、沢地形に沿って行けばいいはずだ。

 いざスタート。

 テン場から約30分で二ノ沢の出合に到着。
 二ノ沢の取りつきから小滝であった。ワクワクする。滑川から比べると狭い沢だが、小さい滝が連続し結構余裕をもって楽しめる。・・・と思っていたら、足を置いた岩が崩れ、なんと首までドボンしてしまった。えっえっ?何が起こったの?
 前回の沢登りでは、地バチに刺されるし、今回は久しぶりの首までのドボン。全く何が起こるか分からない。気を取り直して遡行を続ける。暑い日だったからすぐに乾いてしまった。よかった・・・!

 二俣が出てきた。
 左俣に進む。右俣は大きな滝がかかっていて尾根に乗り上げるようになっている。左俣はちょっと奥に、これまた大岩が鎮座しそこそこの水量を落としている。
 大岩の右を乗り上げ快適な遡行を続ける。
 ガレが出てきた。やがて水は伏流となったが、少し先では、再び水の流れを見るようになった。その先完全に水が切れたと思って高度をどんどん稼いでいったら、なんとナメ滝が現れるではないか。結構な斜度があるし取り付いてみたら、逆層に加えそれこそ滑って登る勇気がなかった。
 左壁の草付きを行く。核心部であった。
 ナメが終わったと思ったら前に立ちはだかる岩の垂壁。ビックリして写真に残すことを忘れてしまった。
 ここは登れない。
 右岸からの小さな沢を少し上がり尾根に取り付いた。2番目の核心部。その尾根は岩の垂壁の上に出た。
 そのまま上へ上へと登りあげていく。藪は大したことない。15分ぐらいで稜線に飛び出した。ふ~。久しぶりの緊張であった。
 ここから稜線伝いに蕎麦粒岳方面に進んでいくと、二ノ沢右俣からの鞍部に到着した。
 ここか下降地点。赤テープが巻かれていた。
 二ノ沢右俣の下降を開始。ところどころにテープがつけられ気が楽だ。このルートを南川氏は登下降したのだ。もちろん何のマーキングもない時だ。ここの沢地形は広く、テープがあったからよかったものの、ないとルーファイが大変であろう。やがて見覚えのあるガレ場でルートは一緒になった。
 後はどんどん下降し、気持ちのいい滑川を歩き、テン場に戻ることができた。

 素晴らしい夕焼けが広がっていった。

 

2018年7月22日  ルート図
二の沢

 

朝の始まり。テン場から三ノ沢岳が見えている。
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滑川入渓地点。
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難しくない滑川を遡行して行く。
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左岸からの一ノ沢。
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滑川二俣にやってきた。
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二ノ沢。入り口は小滝。きれいだ。
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二ノ沢に入ってすぐにヤマアジサイが咲いていた。
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広くない沢だが、気持ちのいい遡行ができる。
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この滝も登れる。楽しいよ。
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簡単だが飽きさせない。遡行図がないだけにワクワクする。
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二俣に来た。
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右俣は大滝を乗越して尾根に取り付く?いやいや右俣には進まないのです。
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左俣を行く。
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すると現れた巨岩。この巨岩の右を登りあげる。
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ガレ場になって、遠くに稜線が見えてきた。
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まもなくか!と思っていたら、いやらしいナメ滝。左壁の草付きを進んだが足元悪く核心部。
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ナメを越えても気を抜けない。正面に立ちはだかる岩壁は登れず、手前の右岸からの小さな沢を登り詰めて尾根に取り付く。すると巻いた岩壁の上に出た。ここからどんどん稜線目指して登っていく。ゴゼンタチバナが咲いていた。ホッとする時。
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稜線に飛び出した。
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蕎麦粒岳(左)と独標。
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二ノ沢右俣の鞍部に到着。ここから下降する。
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クガイソウ
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シモツケ
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約2時間で滑川に出ることができた。テン場まではもう僅か。
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きれいな夕焼けが広がった。
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楽しいビールタイムが、これから始まります。
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