仏谷

 1週間前に登った坊主岳から見た仏谷が立派だった。
 その姿を見たら仏谷のピークに立ってみたくなった。もちろん南川金一氏は仏谷のピークに立っている。南川氏は残雪期に羽淵集落から登っているが、私は坊主岳登山口からの沢を詰めて途中尾根に取り付き、坊主岳からの稜線に乗り上げるコースを考えた。

 一日中天気は保証されている。
 登山口で、これから坊主岳に登るという地元の人とちょっと言葉を交わす。仏谷に登ると言ったら、その地元の人はびっくりしていた。さあ~出発だ。

 久々の沢登?靴をぬらすことなく忠実に沢を詰めていくと、二俣に分かれる出合に来た。沢を挟むようにして尾根がせり出し地図で確認すると、その尾根を登っていくと1549mのピークを経由して坊主岳からの稜線に到達する。
 沢の右俣を詰めようか迷ったが、尾根に取り付いた方が楽だろうと急斜面を木につかまって強引に乗り上げた。どんどんこうだが稼げる。
 この分なら楽勝!なんて思っていたら、やがて笹藪が出てきて、背丈以上の笹藪の中を泳いで進んだのには参ってしまった。約2.5時間ぐらいで坊主岳からの稜線に着いた。
 丁度鞍部になっていてちょっと気持ちいい空間。ここから目指す仏谷がよく見えた。笹藪でなければ、1.5時間ぐらいで山頂に立つことができるだろう・・・なんて気軽に足を進めた。
 少し行くとササがどんどん深くなり、おまけに倒木が多く登りにくい。倒木を1本ごとに乗り越えるのも容易じゃないし、笹の中に姿が隠れてしまって、うっかりすると稜線を外しそうになる。どんどん時間は過ぎていく。
 日が短い季節。
 登山道のない山であるから、下山時に薄暗くなってしまってはアウト。午後1時30分に下山開始時間と決めて登っていった。結果、仏谷の西の肩で時間切れとなった。ここは南川氏が羽淵から取り付いて登ってきた尾根と稜線がぶつかる所である。ここも笹藪に囲まれていた。
 南川氏が言うように、残雪期に登る山であろう。来春の残雪期にリベンジ。今度は南川氏コースをたどりながら仏谷のピークに立ってみたい。

 下山は意外と早かった。2時間ぐらいで駐車場に到着。フロントガラスの上には、朝出会った地元の人のメッセージがミカンとともに置かれていた。

 

2018年12月2日 ルート図

 

水量の少ない沢を詰めていく。

 

二俣出合。尾根に取り付いた。左奥に見えるのは1549mピーク。

 

坊主岳が朝日にあたって美しい。

 

背丈以上の笹藪に泣かされる。

 

御岳山から乗鞍岳までの稜線が素晴らしい。

 

笹藪の中から、途中きれいに見えた御嶽山。

 

乗鞍岳。疲れが癒される。

 

稜線に飛ぶ出して見えた!中心奥が仏谷。

 

稜線鞍部からの坊主岳。

 

仏谷前衛峰に向かって登っていく。高度が上がっていくと見えた御嶽山。いろんな表情がある。

 

仏谷と西ノ肩がよく見えるようになった。なかなか進まない。まだまだ遠い。そしてこの藪。

 

時間切れ。西ノ肩までとした。いつもの儀式。

 

下山途中、1週間前に登った坊主岳と天照山がよく見えた。

 

空気が澄んで、気持ちも澄んで、素晴らしい死産の中に身を置くことにできる幸福感。

 

振り返れば仏谷がほほ笑んでいた。来年必ずリベンジ!