兜岩

 2020年頃から川上村や南相木村に通い登山道のない山を歩き続けた。そんなときに目についた長須ノ頭のような形をした岩。地図で調べたら兜岩となっている。何の記録も見当たらず、でも行ってみたくて、初めて足を運んだのが2021年3月だった。この時は、兜岩に行きつけなく東尾根で引き返した。

 次に挑戦したのは2021年4月だった。この時には大雉沢からP2218と兜岩の鞍部を目指し両方のピークを踏んでいる。

 3回目は2022年10月に、兜岩と2420.2mの三角点を目指している。

 そして4回目には、1週間後に兜岩奥の院を探索した。

 そして、もう一度兜岩に行ってみたくてテン泊兼ねて川上村に向かった。

 前回テン泊した場所と同じところにテントを張る。何回も歩きなれた道だから気が楽だ。直ぐに兜岩を目指す。適当なところから尾根に取り付き、藪の中を歩きやすいところを狙ってガンガン登って行った。見覚えのある岩壁が現れる。もうワクワクだ。

 まずは兜岩奥の院に再度行ってみることにした。10m弱の岩壁をフリーで抜けて一度樹林の中の奥の院に入る。そこからまた岩の間を登り上げて奥の院の上に出た。昨年と同じ場所に立つ。正面には素晴らしい兜岩の姿。その北には2218mピークがよく見えた。

 前回来た時に印をつけ忘れたので、今回は忘れずにいつもの儀式。そして最初に兜岩に挑戦したときに行き詰まった岩稜を確認するために、行けるところまで岩を下ってみた。最後は切れ落ちていた。兜岩から東尾根に続いている岩稜を、今回でほとんど把握できた。胸のつかえがとれた気がする。

 素晴らしい眺望を楽しみながらビールタイム。すでに登った山々も確認できて、これも嬉しい。

 多分これで来ることがないだろう兜岩ワールド。ならば本命の兜岩まで行かなくちゃ。フリーで登った岩を懸垂下降して兜岩を目指す。これもルートが分かっているから楽ちん。兜岩を見上げるところまできて、クライミングシューズに履き替える。きわどい壁を2か所登り、兜岩の基部に立つ。初めてここに立った時に取り付けた印が少し色あせて残っていた。

2023年9月17日 ルート図

駐車場所から歩いて20分。以前にテントを張った場所に到着。

テントを設営してすぐに兜岩を目指して出発した。しばらくは苔むした大雉沢の左岸を歩き、適当なところから尾根に取り付く。

ガンガン登って行くと大きな岩壁が現れた。いよいよだ。

あの岩の基部を乗り越えていくのだ。

前回はこの棚を岩にそって行ったが、今回は反対側から回り込んだ。

兜岩奥の院の上に出た。正面に兜岩。この方向から兜岩を見ることができるのは、この奥の院の上に出なくては無理。テンション上がるわ。

一番他たいところで兜岩とご対面。

今回は忘れずにいつもの儀式。

素晴らしい眺望。自分が登った山を一つ一つ確認できるのは気分がいいわ。

一番先端の岩が、初めて兜岩に向かった時に立った岩である。これで兜岩ワールドはほとんどが確認できた。

岩の上にチョコンと岩が載っている。「岩の上に岩」が結構あるのだ。

奥の院となっている樹林帯を隅から隅まで探索した。岩に囲まれ岩からはストンと落ちている。

懸垂下降で10m弱の岩を下った。登りはフリーでも下りはロープが安心。

いくら見ても見飽きない岩稜が連なっている。これらを北に回り込んで行く。

すると現れる兜岩。

ここでクライミングシューズに履き替える。前回と同じ。前回につけたいつもの儀式も残っていた。

際どいクライミングを2回して、兜岩の基部に立つことができた。

前回につけたいつもの儀式。幾分色あせていた。

もう来ることがないだろう兜岩。思いをはせながら焚火を囲んでこの日の1日をゆっくりと振り返った。

翌日帰りがけに兜岩を見る。これで兜岩ワールド探索はお終い。