人生終い(その2)

 相続の仕事をしていると、被相続人とその家族の人生の重さを感じる。
 4月に亡くなったYさんの相続人全員とお会いした。Yさんが亡くなって長野で一人暮らす妻のRさん。子供たち二人は県外で居を構えている。この土曜日に納骨で長野に帰省した際、相続の件で事務所に来所してもらった。
 高齢になったRさんを思いやる二人の息子に初めてお会いして私は嬉しかった。それぞれが母親のRさんを大切にしている。反面県外で生活しているので、Rさんの傍にいることができない寂しさと申し訳なさが、Rさんに対しての一言一言にこもっていた。
 帰り際に、二人の息子は「相続の手続きをよろしくお願いします。」と頭を下げられた。
 「お任せください。」
 Rさんとのおつきあいが40年以上。Rさんは「まだ15年は頑張れる」という。Rさんが頑張る限り、私も頑張りたい。Rさんは私のことだけでなく私の家族のことまで気にかけてくれていた。これからは、私がRさんのことを見守っていく時になった。
 人生を重ねることの良さがどんどん身についてきて、このことを次世代に伝えていきたいと思う。