近代漆芸名品展

 素晴らしい作品に出合った。仕事で新潟へ足を運んだ時のこと、その仕事先の関連団体が運営する美術館に連れて行ってもらったのだ。

 現在の展示は「20世堆朱陽成 没後70年記念」と題して、20世堆朱陽成の彫漆の作品が並んでいる。漆芸は今まで気に留めていなかった世界だ。しかしです。この美術館で出合った堆朱に、私は魅いせられてしまった。

 漆芸技法はいろいろあるが、「彫漆」という技法に目を見張るものがあった。堆朱、堆黒、堆黄、堆青を何回も塗り重ね、その塗り重ねた漆を掘って行くのだ。紅花緑葉だ。いろんな作品が並んでいたが、私の心をとらえたのは「萬年青 香合」。つややかな緑の葉からのぞいた赤い実が何ともなまめかしかった。幸せを感じる時間だった。