電力中央研究所

 電力中央研究所の視察に行く機会をもらった。確定申告が終了したので、安心して視察に出かけることができた。

 電力中央研究所(電中研)は、電気事業の運営に必要な電力技術等に関する研究を行い技術水準の向上や電気事業の効率化に寄与するための研究機関である。アセスメントの役割を担っている。これらの研究成果が、ガイドラインにもなるとのことであった。

大きく5か所の実験棟を見せてもらった。

1 乱流輸送モデリング風洞

 大気中の気温分布・気流分布・気流乱れを精密に再現できる風洞で、火力発電所や原子力発電所の気流解析や拡散解析等を行っている。

2 南第8実験棟での「共振振動台」

 原子力発電所の重要機器や建屋を対象とする高加速度振動に対する耐震安全性の評価を行っている。

共振振動台の実物で説明を受けたが、巨大な装置だった。

3 「ヘリカルX線CTスキャナー」

 活断層関連研究設備である。強制振動を起こさせ、断層・浸透・ガス透気試験で、物質内部の破壊現象や流体挙動に伴う変化を、CTスキャナー通して見極めている。

 その場で実験をしてくれて、CT画像で断層変異を与えた岩盤内の亀裂を見せてもらった。

4 「津波・氾濫流水路」

 原子力規制委員会のもとで、新しい規制基準の適合性審査が行われている。そのための陸上氾濫した津波現象を再現するために導入している水路。津波に対する電力施設や設備の健全性・頑強性の実証試験に活用している。

ここでは津波を再現してくれた。大きな丸太を津波漂流物として衝突させ、衝突力の推定なども見せてくれた。

5 「空気力載荷試験装置」

 雪が着いた送電線で強風下で発生するギャロッピングと呼ばれる大きな振幅でゆっくり振動する現象を再現することができ、ギャロッピングを抑制する対策法の効果を検証するとのこと。

ギャロッピングの説明中。

 鉄塔部材に降雨による水みちができた状況下で発生するレインバイブレーションと呼ばれる現象実験も見せてもらった。

 電中研の我孫子地区は事前・環境科学研究の拠点となっている。電力施設の自然災害軽減技術やメンテナンス技術。放射性廃棄物処分技術、地球温暖化問題への対応その他サステナブル研究所として取り組んでいることがよくわかり、実際に触れることができ、さらに自分の知識の深まりがあった。