苫小牧市産業経済部との懇談会

 苫小牧CCS実証試験センターの視察の後に、苫小牧市産業経済部との懇談会が行われた。テーマは「苫小牧市の立地環境とゼロカーボンの取組について」で、港湾・企業振興課の内山副主幹と力山課長、新谷主事からプレゼンをしてもらった。

 苫小牧市役所の建物が素晴らしい。昨日、歩いて外観だけを確認していたが、最上階の12階は展望回廊になっていて、苫小牧市内を東西南北見渡せることができるようになっていた。

 事前に訪問した苫小牧CCS実証試験センターもよく見えた。

北西方面。遠くに苫小牧市のシンボルである樽前山が見える。

正面奥に王子病院。王子製紙が経営する病院。左の通りは旭大通り。

中心にオイルターミナル。その右にCCS実証実験センターの分離・回収設備が見える。

苫小牧小学校と中学校。校庭が広いわ。

左から内山副主幹、力山課長、新谷主事。

 苫小牧は北海道の物流・経済を支える交通の要である苫小牧港、高速道路、新千歳空港が充実している。そして広大なスケールの産業用地があり、10ヶ所の工業団地、約800社の立地企業が参加し、多種多様な産業が集積している。

 苫小牧におけるCCS大規模実証試験が実施される様になってから、苫小牧市の企業誘致の風が変わったそうだ。その後どんどん企業が誘致されてきた。

 また苫小牧は、ゼロカーボンと地域産業振興がマッチしている。

 水素の取組、CCSの事業化に向けた取組、e-メタン製造の取組等がなされていて、苫小牧を拠点とする産業間連携も目指している。北海道は、道庁が中心となっているというより市単位での取組が先行している。こうして企業が誘致できるもう一つの要因は、道庁と苫小牧市の補助金が充実していることも要因となっているとのことだ。産・官・学の連携においては、学が少し弱い。

 また、今話題になっているラピダスは地元自治体と協力し、2030年までに北海道バレー実現を目指すとのことで、その影響もどう出てくるかだ。

 これだけ多くの企業が進んで進出しているので、人口の増減を質問した。結果は社会増よりも自然減のほうが多くなり、微減しているそうだ。高齢化率は35%、とは言っても他の地域より低い。色々な事業が実用化に向けて走り出すと増に転じるだろうとのことであった。

 長野県として学ぶことが多かった。苫小牧市との懇談も非常に刺激を受けた時間であった。

苫小牧CCS実証試験センターの視察

 苫小牧CCS実証試験センターの視察の時が来た。長野県経営者協会で段取りをしてもらい、7名の者が参加した。

2024年6月6日 ルート図

 CCSは「Carbon dioxide(二酸化炭素を) Capture(回収して) and Storege(貯留する)」の頭文字をとっている。実際には、工場や発電所などから排出されるCO2を含んだガスからCO2を分離・回収して、地下深くの安定した地層の中に貯留する技術である。

 苫小牧CCS実証試験センターの広報渉外グループ長である山岸和幸氏が現地の施設を見学しながら説明をしてくれた。

 このセンターに来て説明を受け知ったことはたくさんあるが、センターは今モリタニングに入っていることがビックリであった。2019年に30万トンのCO2の圧入達成により、圧入したCO2ぼ挙動を把握し、微小振動、自然自信を常時観測し、海洋環境調査を通じてCO2の漏れがないか監視している。

 貯留したCO2は、貯留層の隙間にある地層水(飲料に適さない塩水)を押しのけて徐々に貯留槽内に広がっていく。上部には遮蔽層があるため、長期間にわたり貯留層内に閉じ込めることができる。その後CO2は、地層水に溶解し周辺の岩石と反応して鉱物化し、安定的に閉じ込めることができるとのことであった。 この場合、遮蔽層が蓋の役目をして、貯留層の中のCO2は漏れないようになっているそうである。

(CCSプロジェクト資料より)

 屋上に出て分離・回収設備の説明を受けた。

右はCO2吸収塔でアミン溶液によりCO2を吸収、中がCO2放散塔でアミン溶液を加熱することによりCO2を放散、左が低圧フラッシュ塔で減圧効果等でアミン溶液からCO2を放散する。

センターの山岸グループ長から説明を受けている。

分離・回収設備

分離・回収設備で高純度のCO2をこの圧入井で海中の地層に圧入していく。これは萌別層圧入井で、深度1,000~1,200 m。

この圧入井は滝ノ上層圧入井で、深度2,400~3,000m。

 政府は、2030年までに実用化を目指している。今後は、CCSコストの低減に向けた取組、CCS事業に対する国民理解の増進等が具体的アクションとしている。

 非常に刺激を受けた。いい視察をさせてもらったことに感謝だ。

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