北陸三県・長野県経営者協会役員協議会

 福井、石川、富山、長野の経営者協会役員協議会が長野で開催された。20名が集合し、各県の情報交換を行った。毎年行っているが、今回は長野県が当番。まずは国宝松本城を見学し、その後セイコーエプソンの広岡工場の見学に入った。

国宝松本城。

セイコーエプソン広岡工場の建物に入ると素晴らしい空間が広がっている。

 デジタル捺染機「Monna Lisa」をまず見学。スタートから圧倒された。イタリアと日本の2か所でデジタル捺染の研究開発を行っているそうだ。インクの調合を必要としないデジタル捺染は、高精細でかつ階調豊かな印捺を実現している。

「Monna Lisa」

「Monna Lisa」 が設置されている部屋に一緒に展示されている布は、すべて 「Monna Lisa」 による捺染。

 次は話題の「乾式オフィス製紙機・PaperLab」。使用済みの紙を水を使わずに再生する。紙の購入や廃棄の為の輸送頻度が減るためCO2排出量を削減し、PaperLabで作った紙を社内で利用することで紙の購入量を減らし、環境負荷低減に貢献している。

 このことは以前から知っていたが、実物を見るのは初めて。他の経営者も非常に関心を持っていた。金額は2,000万円ぐらいで、もう少しコンパクトなものを開発中だとか。結構大型なので、設置するのに広いスペースが必要。

「PaperLab」

ガーメントプリンター。Tシャツに印刷するプリンター。

 少し前に碓井会長からプリントヘッドのことをお聞きしたが、今回の視察でさらに深まった気がする。そしてこうした技術が、いかに環境に優しく活かされているかも再認識できた。参加者の皆さんの関心は、 「乾式オフィス製紙機・PaperLab」 に対して一番高かったと思う。私も同様だ。

 この視察後に長野に戻って行ったグループごとの各県の情報交換も充実したものだった。

ビジネスリーダーとしての心構えNO3

 まだまだ続く。碓井会長は言う。自分たちの存在意義は?強みは?長期的課題と短期的課題を検討しよう。会社の果たす役割は何だろうか。社会に役立つから会社は存在する。お客にいいねと言われるから会社は存在する。社会に新しい価値を提供する企業社会がよくなる形で利益を出さなくてはならない。

 私はこの時に「蒼天在上」という言葉を思い出した。よこしまな気持ちを持っていても空の上には青空があるように天の上からは必ず見ている人がいる。・・・正しい利益の出し方をして社会に貢献するのだ。

 ワークショップの第1部が終わりに近づいた。碓井会長は力を籠める。経営者トップとしての心構えと役割の一つに「自身の存在意義の顕現化」がある。経営者者はすべての人を元気づける存在、人の心にともしびをともす存在でなければならない。一人一人が納得して「やるぞ」「よしやるぞ」となる組織にするにはどうするか。

 取るに足らない教師はただしゃべるだけ。

 少しマシな教師は説明しようとする。

 優秀な教師は自分でやって見せる。

 偉大な教師は人の心に灯をともす。(ウィリアム・アーサー・ウォード)

 最後に、このウィリアム・アーサー・ウォードの言葉を挙げて、「自分の会社をこうしたい、具体的に自分はこうしたいを明確にすること。人の心に灯をともして。」と碓井会長は締めくくった。

ビジネスリーダーとしての心構えNO2

 碓井会長のワークショップはまだ続く。

 次に「組織を動かす心構え10+αか条」という話に進んだ。

1 本質を究め、極める・・・常に「物事の本質」の見極めや生きた情報集めに専心しよう。定石や常識が正しいとは限らない。

2 謙虚に学ぶ、多様性の尊重・・・高い志と謙虚さがあれば、上司に限らず、部下や小さな会社からも学ぶことができる。誰とでも尊敬しあう対等な関係で接し、謙虚に学び、共に考える同士を作ろう。

3 目的意識・・・常に「何のために」を考えて活動しよう。ときに手段が目的化してしまうことがある。目的達成の最適な方法を常に考え、チームを正しい方向に進めよう。

4 メリハリを意識(トップダウンとボトムアップ)・・・常に優先順位を意識してマネジメントする。自ら注力すべきところ、任せられるところが明確になり、人も育つ。成果も上がる。

5 情熱、熱意・・・「黙って俺についてこい」はダメ。ビジョンを持って、時にやって見せ、部下を信頼しやらせてみて、情熱をもって叱る、褒める。

6 決断力・・・決断力は大事。しかも迅速な。「一緒に考えよう」と反対の人たちも巻き込む。的確で迅速な決断も日ごろの準備が大切。迅速なリーダーの決断が組織にスピードある勢いを生む。

7 影響力の発揮、構想力を磨く・・・総合力を最大化するためには、自らの傘下はもちろん他の職場、上司、社外の組織も巻き込む。情報は、報告を受けるだけでなく取りに行くもの。そして主体的に動き出す環境を作ろう。人に指示されたことより自発的に考えたことのほうが力を発揮する。

8 説得の技術・・・ただ声を大きくして感情でしゃべってもだめ。どうしたら自分の意志が相手にわかってもらえるかを、よく考えて話す。

9 覚悟(責任感)・・・常に会社を代表しているというラストマンとしての自覚。失敗を恐れず挑戦し続ける覚悟。部下に感謝し、いたわることを忘れずに。リーダーの覚悟が組織を動かす。

10 強みに集中(長期視点で考える)・・・強みの正確な理解が必要。強みこそ存在意義の根源。将来の在りたい姿を思い描きながら、そこに至るシナリオを持ち、現実的な対応をする。

 以上の話の前提として、社員は「自分が会社を代表している」という意識を持つことが大切。つまり経営者の立場であっても社員の立場であっても、こうした意識が大切ということ。

ビジネスリーダーとしての心構えNO1

 長野県経営者協会主催のワークショップがある。管理職、次期経営者、若手経営者が対象の20人限定のワークショップで、今までにも事務所のクライアントに何人か参加してもらった。今回もクライアントが1名参加している。

 今回初めて取り入れられたプログラムの中に、経営者協会の碓井会長が講師となって「ビジネスリーダーとしての心構え」というテーマでのワークショップがある。ここに特別に参加させてもらった。かなり中身の濃い充実した2日間であった。

 まずは碓井会長自身が今まで歩んできた人生においての話をされ、参加者が自分の立場で考えるきっかえを作った。

 碓井会長は、自分が組織を率いる上での信念、製品新規事業化に向けての過程、また、世界と戦うための事業変革、企業体質を実現した地震のプロセス等を熱く語ってくれた。

 1 自分の人生にもビジョンを

 2 常に前向き

 3 夢を力に、究めて極めて極める

 何のために活動していくか、何のためにやるのかという考え方を第一にする時代になっている。そんな中で「能力×情熱×考え方」が大事であるが、この3つの中で1番大切だと思うのはどれか、という問いかけがあった。能力と答えた人は1名、情熱と回答した人が約3分の2、後は考え方と別れた。それぞれにその理由を求められた。

 碓井会長の答えは「考え方」であった。考え方によってすべてが変わる。自分自身がどういう心持で行くか、「自分たちはこうあるべきだ」という考え方があって、どっちにもなる。世の中にとって正しいことをやろう。情熱も大切であり、能力をつけることも忘れてはならない。

 私は情熱かと思っていた。碓井会長の「何のために活動していくか、名のためにやるのかという考え方を第一に」という言葉から気づかされた。

長野優法会第31回通常総会

 長野優法会通常総会が開催された。優良法人の関与をしている税理士も出席できる。事務所では2法人が優良法人となっており、今、他のクライアントも優良法人目指して企業活動を行っている。

 第31回通常総会においての記念講演は、株式会社ティー・エム・ピーの代表取締役高橋一雄氏が「変わりゆくモノづくり」という演題で講演された。その中で、小型原子力発電や核融合発電が進んでいる話題が出た。特に小型原子力発電の仕組みから、今後活用がされていくのだろうと思った。

 中国国内の裏事情という話もあった。

 1 一人っ子政策による急激な少子高齢化。

 2 若者の就職状況は、失業率20%となっている。

 3 若者の労働思考として、一番安定している仕事は家事手伝い。

 4 国は国営優先の企業を支援している。

 多岐にわたる話の中で、残った内容は以上の通りでした。

阿部知事との懇談会

 今年度第1回目の阿部知事との懇談会に参加した。前年度に続けて2回目となる。今回は知事の方から「県として進めたい事項」についての説明があった。

1 女性・若者から選ばれる県づくり

2 ゼロカーボン加速化

3 デジタル・最先端技術活用推進

4 個別最適な学びへの転換

5 人口減少下における人材確保

6 世界で稼ぎ地域が潤う経済循環実現

 以上の6項目について、経営者協会との問題意識の共有がなされた。女性・若者から選ばれる県づくりについては、「人口減・少子化対策委員会」が立ち上げられ、そのメンバーにもなった関係で個人的にも特に力が入る。

 長野県では「若者の奨学金返還視線制度」という県からの助成もあるということを知った。しかしあまり認知されていない。6月9日現在制度導入予定企業も14社とのことだ。

 制度を作ってもどうしたら利用されるかが課題であると感じた。今年の4月から新たにスタートした長野県5か年計画についても、素晴らしい小冊子ができているが、そのことすら知らない県民が多い。

 どんな事でも、そうした制度等が認知され利用されていくかまで整えないと意味がない・・・と常々思い、そのことは知事にもお伝えした。

労働基準監督署の臨検監督

 働き方改革関連法のの影響を踏まえて、「労働基準監督署の臨検監督」についてのセミナーに参加した。講義は3部門に分かれ、

1 臨検の概要

2 是正勧告の事例

3 課題・最近の動向

 という内容で斉藤社会保険労務士からの説明があった。非常に勉強になったし、普段から労働に関して注意すべきことも明確になった。

 臨検の依頼状が来たら、監督官が来る前に行うべき臨検に対する準備、臨検当日の対応から報告までの流れ等についての内容は、まだ経験したことがないだけに学ぶことが多かった。是正勧告書と指導票の違いの説明もあり、要するに臨検があっても是正勧告をされない等普段から社員のためにきちんと法令を守っていることが大切と再認識した。ちなみに、是正勧告書は法違反の是正を目的とするものであり、指導票は法違反とまでは言えないものの、改善すべき事項がある場合に用いられるものだそうだ。

 長野労働基準監督署内の臨検の実績は、企業規模別だと従業員が300人以上が23.5%、従業員が10~29人が22.4%の割合で、事業場(各支店・営業所等)規模別だと1~9人が37.2%、10~29人が36.1%となっているとのことだった。

 臨検監督の事例も何件か説明いただいたが、結果、何を気を付けなくてはいけないかも理解できた。

 労働基準監督官の50%が「指摘事項が是正・改善されず苦労している」という悩みを持っているそうです。

長野県経営者協会定時総会記念講演

 長野県経営者協会の定時総会が開催された。役員任期満了に伴い新たに新役員が選任され承認可決。理事に女性二人が加わったことが大きな進歩。

 総会記念講演では、講師に江上剛氏が登壇し「コロナ不況を如何に生き抜くか、いくつかの視点」という演題でお話しされた。

以下要約

失われた時代が長かった。だからこそ今は創造イノベーションの時代である。会社経営において大切なことは5つ。

1 ユーザーの立場に徹底して立つ。

2 己を知る。自分の会社の強み弱みは何か。

3 異端を大切にする。(情勢や障害者、子供他)

4 非効率であること(効率化すぎないこと)

5 思い込みをしない。

 上記1について、プラスチック成型事業を行っている会社の事例。ガーデニングの植木鉢をプラスチックで作った。ユーザーは真こそ欲しいものには金を出す。(満足度)コストの値上げではなくユーザーの満足度を上げていく。

 上記2について、富士フイルムの事例。富士フイルムは化粧品に進出した。フイルムがなくなってきたということは、時代の流れで自分たちが本業としてきたものがなくなる。じゃあどうするか。この時に技術の棚卸を行った。他社より優れているものはなんであるか、立場を越えて議論をし方向性を見出していった。経営者は方針を出さないこと。

 上記3についてはイノベーションのジレンマである。お客さんは来てくれないもの・・・来てくれるように工夫。取引先は売ってくれないもの・・・苦しくても20日締めの月末払いが約束なら実行することで信用を勝ち取っていく。銀行は貸してくれないもの・・・借りないように工夫する。つまり変化に対応すること。成功事例を押し付けずに異端を大切にすること。

 上記4について、効率ばかりを求めてきたが、非効率こそ付加価値につながる。効率化を追ってはダメ。ギスギスしてしまう。非効率な構造のほうが発想が豊かになる。シンガポールの建物は、目的の部屋に行きつくまでに複雑な通路を通って行くようになっている。その通路を通るときにいろんな発想が生まれる。

 上記5について、自分はこれを作っているからこれしかできないはダメ。100年、200年企業は同じことをしてきたのではなく変化してきている。丸井デパートはモノを売らないデパートに、コンビニはモノを売るのではなく便利さを売るという発想。

 仕事が楽しいということはやらされ感がないということである。やらされ感があると、給料をいくらもらっても満足しない。自ら動くことがやらされ感がないこと。「俺についてこい」「俺の言うことを取り入れろ」はダメである。リーダの要件は傾聴受容共感。

 勉強になりました。久しぶりにいい時間を持てたと思っている。

女性活躍推進上の課題

 関西経済同友会が行った女性経営者層調査結果が発表された。

『女性活躍を進める上での課題は何か』という問いに対する回答は、

1 経営者・管理職が古い体質、価値観から抜け出せない・・・64.3%

2 女性本人が管理職にないりたがらない・・・58.9%

3 女性登用に対する他の経営陣や管理職の意識が低い・・・39.3%

4 企業のイメージ、業種などにより、女性の応募が少ない・・・32.1%

『入社時から管理職や経営層になることを望んでいたか』という問いに対する回答は、

1 なりたいと考えていた・・・13.8%

2 チャンスがあればなりたいと考えていた・・・19.0%

3 拒むものではないと思っていた・・・27.6%

 ということで、計60.4%が入社時から経営層に就くことに肯定的としている。この調査は女性経営者や役員らを対象に行っているだけに、このような結果が出たと思われる。

 経営者側の立場として、この女性を管理職に登用したいと思っても、本人の生活環境が邪魔をして拒否されるケースも多い。能力ある女性の活躍をどのように実現させていくかも課題であるが、自分の周りには、キラキラ輝いて働く女性が多くて嬉しいわ。

再生可能エネルギーに関する近時の動向とその対応

 東京弁護士会所属の三澤充弁護士から「再生可能エネルギーに関する近時の動向とその対応」についての講義に参加した。

1 FITが果たしてきた役割と問題点

2 エネルギー供給強靭化法の概要

3 FIP制度の概要

4 コーポレートPPAとアグリゲーション

5 N-1電制とノンファーム型接続

6 土地建物の有効活用

の内容についてである。

 日本の再エネの現状は、再エネ発電設備容量は世界第3位、太陽光発電は世界第3位と以外にも上位で驚いた。日本の場合、狭い国土で大きな土地面積が要求される太陽光発電所を大幅に増やすのは困難であり、広い海洋を利用して養生風力発電に期待がかかっている。

 FIP制度・非FIPを見据えて各企業が自身のビジネス展開の検討が必要な段階に入った。主流はFITからFIP/非FITへ移行しつつある。

 太陽光発電の電力を利用する方法として「オンサイトPPA」が注目されている。企業等が建物の屋上や敷地の一部を発電事業者に提供して太陽光発電を購入する方法。発電事業者が設備の施工・運転・管理を行い、発電した電力を敷地内の建物に供給するという仕組みで、初期投資はなく電力を購入するだけ。購入者は電力と環境価値を取得するようになる。

 他にもいろいろ説明があったが、知らなかったはダメ。少しずつ学習して、環境関係の発信をさらにしていきたい。